指示待ち社員が生まれる会社の特徴とは?自分で考えて動く社員を育てる5つの方法
「言われたことしかやらない」
「何か問題が起きると、すぐに上司へ判断を求めてくる」
「もう少し自分で考えて動いてほしい」
社員に対して、このように感じたことはないでしょうか。
経営者や管理職からすると、
「最近の社員は主体性がない」
「もっと自分から動いてほしい」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、本当に社員本人だけの問題なのでしょうか。
もしかすると、会社のマネジメントや組織の仕組みそのものが、社員を「指示待ち」にしている可能性があります。
今回は、指示待ち社員が生まれやすい会社に共通する5つの特徴と、社員が自分で考えて行動できる組織へ変えていくための方法について考えていきます。
1.そもそも「指示待ち社員」とは?
一般的に指示待ち社員とは、上司から具体的な指示を受けるまで、自分から判断したり行動したりすることが少ない社員を指します。
例えば、
- 次に何をすればよいか毎回確認する
- 問題が発生するとすぐ上司へ判断を求める
- 自分から改善提案をしない
- 担当業務以外には関わろうとしない
- 指示された範囲の仕事だけを行う
といった行動です。
しかし、ここで重要なのは、「指示待ち=本人にやる気がない」と単純に決めつけないことです。
入社した当初は積極的だった社員が、数年後には指示を待つようになっているケースもあります。
なぜ、そのような変化が起きるのでしょうか。
そこには、組織側の問題が隠れている場合があります。
2.指示待ち社員が生まれる会社の5つの特徴
特徴1 会社や仕事の「目的」が共有されていない
社員が自分で判断するためには、「何のためにこの仕事をしているのか」を理解している必要があります。
例えば上司から、
「この資料を金曜日までに作っておいて」
と言われたとします。
指示された社員が、
- 誰が読む資料なのか
- 何を判断するための資料なのか
- どの情報が重要なのか
を知らなければ、言われた通りに資料を作るしかありません。
一方、
「来週の経営会議で、新商品の販売継続を判断するために使う資料」
という目的まで共有されていれば、
「それなら、この数字も必要ではないか」
「前年との比較も入れた方が分かりやすい」と自分で考えられるようになります。
社員に主体性を求める前に、「目的を共有できているか」を確認することが重要です。
特徴2 上司からの細かい指示・管理が多すぎる
仕事を確実に進めるため、上司が細かく指示することがあります。
「まずこれをして」
「次にこれをして」
「終わったら報告して」
「その後はこれをして」
短期的には、その方が効率的かもしれません。
しかし、これが日常化すると社員は、
「自分で考えるより、上司に聞いた方が早い」と学習します。
そして何か起こるたびに、
「次はどうすればいいですか?」と確認するようになります。
上司から見ると、「どうして自分で考えないんだ」となります。
しかし社員からすれば、
自分で考える必要がない仕事の進め方を教えられてきた、とも考えられるのです。
特徴3 失敗を許さない文化がある
社員が自分で判断して行動するためには、ある程度の失敗を経験する必要があります。
ところが、
「勝手なことをするな」
「どうして確認しなかったんだ」
「前例と違うことをするな」
と失敗するたびに強く否定されていたら、社員はどうするでしょうか。
次第に、
「判断しないことが一番安全だ」と考えるようになります。
何もしなければ怒られる可能性はあります。
しかし、自分で判断して失敗するより、
「上司の指示通りにやりました」
と言える方がリスクは小さい。
こうして組織の中に、指示を待つ文化が形成されていきます。
もちろん、すべての失敗を許容すればよいという意味ではありません。
重要なのは、
「なぜ失敗したのか」「次にどう改善するのか」
を考える文化をつくることです。
特徴4 上司と部下の対話が不足している
社員に主体性がないと感じたとき、「もっと自分で考えなさい」と言うだけでは、なかなか変わりません。
本人は、
「どこまで自分で決めていいのか分からない」
「何を期待されているのか分からない」
と感じているかもしれないからです。
そこで重要になるのが、上司と部下の対話です。
例えば、
「あなたはどう思う?」
「他にどんな方法が考えられる?」
「お客様の立場ならどう考える?」
「あなたなら、どれを選ぶ?」
と問いかけます。
答えを与えるのではなく、考えるための問いを渡すのです。
最初は時間がかかるかもしれません。
しかし、この経験を繰り返すことで、社員は少しずつ自分の考えを持つようになります。
特徴5 何を評価されるのか分からない
社員が自ら考えて行動しても、「余計なことをしなくていい」と言われる。
改善提案をしても評価されない。
一方、言われた仕事をミスなくこなしている社員が評価される。
このような組織で、「もっと主体的に行動してほしい」
と言っても、社員からすると矛盾しています。
社員の行動は、会社の評価制度や上司の反応から大きな影響を受けます。
主体性を求めるのであれば、
- 改善提案
- 挑戦
- 問題発見
- チームへの貢献
- 後輩への支援
なども認める必要があります。
会社が求める行動と、会社が評価する行動を一致させる。これは組織づくりにおいて非常に重要です。
3.ドラッカーに学ぶ「自ら考えて成果を出す組織」
ドラッカーのマネジメント思想を考えるうえで重要なのが、
「成果」という視点です。
仕事とは、単に上司から与えられた作業をこなすことではありません。
組織の目的を理解し、自分の役割を通じて成果へ貢献することが求められます。
そのためには、「何をしなさい」という作業だけを与えるのではなく、
「何のために行うのか」
「どのような成果を期待しているのか」
まで共有する必要があります。
目的と期待する成果が分かれば、社員はその間にある「方法」を考えられるようになります。
ここに、指示待ちから自律への大きな違いがあります。
4.「指示するマネジメント」から「問いかけるマネジメント」へ
社員が相談に来たとき、
「こうしなさい」
と答えれば、話は早く終わります。
しかし、それを繰り返していると、社員はいつまでも上司の判断を必要とします。
そこで、
「あなたはどうしたい?」
と一度問い返してみます。
社員が、「分かりません」と答えたら、
「どんな選択肢が考えられる?」
と聞きます。
例えばA案とB案が出たら、
「それぞれのメリットとリスクは?」
とさらに考えてもらいます。
最後に、
「あなたならどちらを選ぶ?」
と判断を促します。
この繰り返しによって、
相談 → 思考 → 判断 → 行動 → 振り返り
というサイクルが生まれます。
社員を育てるとは、答えを教え続けることではありません。
自分で答えを出せるようにすることなのです。
5.自分で考えて動く社員を育てる5つの方法
ここまでの内容を、実際の組織づくりに落とし込んでみましょう。
| 取り組み | 具体的な方法 | 期待できる変化 |
|---|---|---|
| ①目的を伝える | 仕事を依頼するときに「何のために」を説明する | 判断基準を持てる |
| ②任せる範囲を決める | 「ここまでは自分で判断してよい」と明確にする | 判断する経験が増える |
| ③問いかける | 答えを教える前に「あなたはどう思う?」と聞く | 考える習慣がつく |
| ④失敗を振り返る | 責めるのではなく原因と改善策を考える | 挑戦しやすくなる |
| ⑤行動を評価する | 成果だけでなく提案・挑戦・改善も認める | 主体的な行動が増える |
特別な制度を導入しなくても、日々のマネジメントから始めることができます。
重要なのは、経営者や管理職自身の関わり方を変えることです。
6.社員に任せることと「放任」は違う
ここで注意したいのが、
「自分で考えてもらう=すべて社員に任せる」
ではないということです。
何の説明もせず、
「自分で考えてやっておいて」
と言うだけでは、マネジメントとは言えません。
必要なのは、
目的・成果・権限の範囲を明確にしたうえで任せること
です。
例えば、
「この目的を達成してください」
「予算はここまで使えます」
「この範囲は自分で判断してください」
「ここを超える場合は相談してください」
と判断できる範囲を明確にします。
これなら社員も安心して行動できます。
任せることとは、管理を放棄することではありません。
自ら判断できる環境を設計することなのです。
7.「社員が動かない」と感じたときこそ、組織を見る
社員が自分で考えない。
管理職が育たない。
社員が辞めてしまう。
これらは、それぞれ別の問題に見えます。
しかし実際には、
組織の目的、役割、権限、評価、コミュニケーション
という共通した問題から生じている場合があります。
「最近の社員は主体性がない」
と社員側だけに原因を求める前に、
「自分たちの組織は、社員が自分で考えられる環境になっているだろうか」
と問い直してみる。
そこから組織改善が始まるのではないでしょうか。
まとめ|指示待ち社員を変える前に、組織の仕組みを変える
指示待ち社員が生まれる会社には、次のような特徴があります。
- 仕事の目的が共有されていない
- 上司からの細かい指示・管理が多すぎる
- 失敗を許さない文化がある
- 上司と部下の対話が不足している
- 評価基準が明確になっていない
社員に、
「もっと主体性を持ってほしい」
と求めるだけでは、組織はなかなか変わりません。
経営者や管理職が、
「自分たちは社員が考える機会をつくっているだろうか」
とマネジメントそのものを見直す必要があります。
目的を伝える。
問いかける。
任せる。
失敗から学ぶ。
行動を認める。
この積み重ねによって、社員は少しずつ「指示されたから動く人」から「目的のために自ら考えて動く人」へ変わっていきます。
人を変えようとする前に、人が動く組織をつくる。
それが、自律した組織への第一歩です。
自分で考えて動く組織をつくりたい経営者の方へ
「何でも自分が判断しなければ仕事が進まない」
「管理職に任せたいのに、結局自分へ確認が戻ってくる」
「社員にはもっと主体的に働いてほしい」
こうした問題は、一人ひとりの能力や意欲だけが原因とは限りません。
オフィスミッドエイトでは、ドラッカーのマネジメント思想をベースに、経営者とともに現在の組織課題を整理し、人が育ち、自ら考えて成果を生み出せる組織づくりを支援しています。
福岡を中心に、経営・組織づくり・人材育成についてのご相談を承っています。
「まずは、自社の組織のどこに問題があるのか整理したい」
という段階からでも、お気軽にご相談ください。