成果とは何か
企業は毎日、さまざまな仕事をしています。会議を開く。営業に行く。電話をかける。報告書を作る。新しい企画を考える。
忙しく働いていると、「今日はよく仕事をした」と感じる日もあるでしょう。
しかし、その一方で、ドラッカーは私たちに問いかけます。「それは、本当に成果なのだろうか。」
私たちは、活動と成果を混同しがちです。営業件数が増えた。会議をたくさん開いた。報告書を期限どおり提出した。新しいシステムを導入した。どれも必要な仕事です。しかし、それらは成果ではありません。成果を生み出すための活動です。
ドラッカーは、「成果は組織の内部には存在しない。成果は常に外部にある」と考えました。組織の中にあるのは、努力や知識、技術、制度、設備です。しかし、それらはすべて手段にすぎません。
成果とは、その活動によって顧客が価値を感じ、社会に変化が生まれた結果として初めて現れるものなのです。
例えば、営業担当者が100件訪問したとします。100件という数字は活動量です。
しかし、その結果、お客様が「この会社と長く付き合いたい」と感じたなら、それが成果です。
学校なら、授業を行うことが成果ではありません。生徒が学び、成長することが成果です。
病院なら、多くの患者を診察したことではありません。患者が健康を取り戻し、安心して生活できるようになることが成果です。
運送会社も同じです。荷物を運ぶことが成果ではありません。荷物が無事に届き、お客様の生活や企業活動が円滑に進むことが成果なのです。
ところが、多くの組織は、いつしか活動そのものを評価するようになります。会議の回数、営業件数、訪問件数、書類の数。
数字で管理しやすいものほど評価され、本当に社会へどのような価値を届けたのかという問いは、後回しになってしまいます。
ここに、前回のコラムで取り上げた「組織の自己目的化」が顔を出します。本来は成果を生み出すための活動だったものが、活動そのものを増やすことへと変わってしまうのです。
ドラッカーは、成果を生み出す組織とは、「忙しい組織」ではなく、「顧客に価値を届ける組織」であると考えました。
だからこそ、経営者も管理職も、毎日一つの問いを持たなければなりません。
「今日は何をしたか。」ではなく、
「今日、お客様や社会に、どのような価値を生み出したのか。」
この問いを忘れたとき、組織は活動に追われながらも成果を失っていきます。
反対に、この問いを持ち続ける組織は、変化する時代の中でも、本当に必要とされる存在であり続けることができるのではないでしょうか。